歴史調査(日本人の起源 埴原和郎)

歴史調査(日本人の起源 埴原和郎)
先日サラリーマンが定年退職して書いた「日本人の起源」幻冬舎、山崎茂幸著2016年初版という本に、旧石器時代人→縄文人→弥生人→現代人となったという仮説が書いてありましたと紹介しました。
この本と同じ書名「日本人の起源」朝日新聞社、埴原和郎編、1984年初版
という本があることを、知りました。どうやらこの本が、埴原の二重構造モデルの紹介本として有名な本らしい。(1994年の改訂版が手元にある)

本日はこの本の簡単な紹介をして、メモとして残す。

Ⅰ~Ⅳ章に旧石器時代~弥生時代の説明があるが、今となっては、古くなってしまい、訂正が必要な箇所がある。
① 旧石器時代
・早水台遺跡 石英の石器 12~10万年前(今はこの年代は?)
・中峰遺跡 10万年前(これも今は疑問)
・牛川人?(今はナウマン象の骨)
・石器文化談話会の遺跡群(例 上高森遺跡、馬場壇A遺跡等 旧石器遺跡は捏造と判明)

現在では、前のブログで紹介したように、中期旧石器時代の遺跡は、
・金取遺跡が8万年前。
・砂原遺跡の第Ⅱ文化層中に包含される火山灰層(三瓶木次火山灰)の年代を11万年前と特定した。
・入口遺跡は第2層上位から姶良Tn火山灰のガラスが検出されている。土壌中に含まれる鉱物をIRSL(赤外光ルミネッセンス法)年代は第3層下部が9万年前、第4層が10.3万年前と測定された。
等だが早水台遺跡や中峰遺跡は、出てこない?

Ⅰ~Ⅲ章に旧石器時代~縄文時代の説明は、読み飛ばすことにする。
当時の権威が書いた本らしいので、もう少し勉強してから、考古学の進展を知る資料として、読むことにする。

Ⅳ食糧生産が開始された・・・・弥生時代とその後
混血説と移行説(当時の学会の主流)
 混血説・・・・京大教授 清野謙次
(縄文人に渡来系が混血したが縄文人が日本人の根幹をなすとする説) 
 移行説・・・・東大教授 鈴木尚(埴原の師?)
(混血の影響は小で、文化の変化で縄文人が弥生人になったとする説)

Ⅴ 日本人はどこから来たのか・・・新しい研究成果
①2重構造モデル(埴原説)・・・・説の説明は省略する。
・人口増加モデルから渡来人の人数をシュミレーション
結果は、当時の学会の常識(弥生人は縄文人に少数の渡来人が混血)に対向して、かなり多い渡来人が渡来して混血
・頭骨小進化モデル
各地方の頭骨の進化具合から、土着縄文人の混血の影響をシュミレーション
結果は、 混血の影響大で、移行説は単一民族の先入観にしか過ぎない。

②さらにさかのぼった原日本人
冒頭に、1993年は日本の歴史を五十万年前ごころから始めねばならないことが、判明した点で、画期的な年であったと思うと書いている。その後8ページにわたって、藤村の成果を喧伝している。(捏造事件)

感想
本著は、筆者の2重構造モデルを提唱、紹介した本で、意義ある本であるが、
藤村新一石器捏造事件を見抜けず、積極的に紹介しているのは、止む得なかったとはいえ、考古学会全体としては、残念な本であったと思われる。
昔はこう考えられていたという意味で読むならいいが、初心者が読むのは、どこまで真実かわからない。歴史調査は、その後の研究の進展によって、昔の議論が古くなってしまい、読みたくない資料が多い。読むなら、最新の分子考古学の本がよい。アイヌ人はイルクーツク人の影響で、日本人はダブル2重構造モデルのようだ。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック